草・花・鳥等の落ち着きのある写実的な柄が多く自然の描写を追求し”虫食い”といった技法や加賀特有のぼかし技法も使われています。
色は加賀五彩と呼ばれる華やかで美しい色彩を巧みに使い描かれており金加工や刺しゅうは用いられませんが上品で美しい仕上がりとなります。
一人の作家が図案から彩色までをこなし、手描きにより作り出すのでまるで一つの作品のようでそれぞれの個性や味わいがあるのも特徴です。
黒留袖
柿本市郎「花笠」
花びらの一枚一枚に筆づかいが伝わってくるほど細かく描かれており落ちついた色づかいにもかかわらず、力強さが感じられます。加賀友禅の卓越した技術が見る人を魅了します。
口野春峰「桃 紫陽花」
とても色の冴えた青のボカシとのびやかな桃の枝に対してやさしく咲く紫陽花。花の色づかいとボカシの青があいまって艶やかな加賀友禅らしい一枚となっています。
式部良信「鴛鴦の詩」
花を豪華に配し金彩を使っていないのに迫力のある美しさ。そのそばにはおしどりがよりそって雰囲気をなごませています。冴えた色づかいの中にもやさしさを感じられる留袖です。
百貫華峰作 黒留袖 早春の思い出
咲き誇る早春の花々の中に鴛鴦を伝統的な加賀友禅の技法で描いた格調高い正統派の黒留袖です。華峰の卓越した色彩感覚は見る人を陵駕します。
西尾 翠峰作 黒留袖 山水風景
遠くの山々には残雪が見られ松の若葉が春の光を浴び湖の水面は、そよ風で揺れています。まるで風景画のように優れた構図で立体的に描かれています。落ち着いた雰囲気で気品のある逸品です。
柿本一郎作 黒留袖 生花釣舟
四季折々の花々を花釣り舟に生けた加賀友禅の特徴である五彩を基調として細かい描写の虫食い、柿本一郎らしい繊細で丁寧な色使いが特徴の一枚です。
色留袖
茶谷孝志「花のし」
熨斗を大胆に配しその上に花が咲きほこる美しくも優雅な柄を加賀五彩を基調とする繊細な彩色により艶やかに描き上げた一品です。
杉浦伸作 色留袖 おし鳥
鴛鴦に菊、松、梅、笹、流水を優れた構図で、杉浦伸独特の洗練された色使いで描かれています。清楚で華やかな雰囲気が漂う本加賀友禅です。
山下志泉作 色留袖 光悦垣
風景画のようなタッチで庭園を描いています。多色使いで、奥行きのある画調が見る人、着る人を魅了します。裾の垣根が全体をひきしめ、ポイントになっています。
西尾翠峰作 黒留袖 山水風景
遠くの山々には残雪が見られ松の若葉が春の光を浴び湖の水面は、そよ風で揺れています。まるで風景画のように優れた構図で立体的に描かれています。落ち着いた雰囲気で気品のある逸品です。
訪問着
濱田 泰史「几帳」
うすいピンクの地色に梅菊楓桔梗を配し、雲の切れ間から几帳が風になびいている様子を背景に淡い色ボカシを使って表現しています。花の色が際立ち地色が着る人をやさしくつつみ込みます。
口野 春峰「そよ風」
さわやかな水色地に縦に伸びた梅の枝。その下には菊が咲き小鳥が集う景色。濃い色から黄色までの裾ぼかしも見事なまでの色づかいです。
赤地 暁「加賀祝寿」
うす黄緑に水色の裾ぼかし、実に清々しい地色に大輪の花と水引の鶴と亀。華やかな色づかいに豪華な構図。祝いの席にふさわしい一枚です。
藤村建雄「槙山茶花」
水色地に白い花と白い葉、色とりどりの実がなり全体に流れがある構図です。やさしい筆使いと色づかいによってさわやかさがあふれる訪問着になっています。
茶谷孝志「豊潤」
縦に伸びた枝に色あざやかな花々が幾重にも連なり小付の柄なのに華やかさに満ちています。裾に葉柄のアクセントがあっさりとした中に落ちついた雰囲気を持たせた一枚です。
本間哲哉「松に梅」
こげ茶の地色に梅と生々とした黄緑色が冴える松の葉。裾には金茶色のぼかしが入り重厚で高貴な雰囲気を持つ一枚です。
藤藁 隆「山省笹菊桔梗の図」
明るいピンク地に伸びやかな技ぶりの花々。鮮やかな花と背景の色ぼかしがうす紫から黄緑、そして濃い紫へと変化する色彩が映える見事な構図の訪問着です。
宮野勇造作 訪問着 令部
錆浅葱色、白、萌黄色で染め分けした地色にリョウブを全体に描いた本加賀友禅です。染め分けによって個性的な雰囲気を出し、宮野勇造独特の伸びのある繊細な面持ちです。優雅な模様にひときわの魅力が感じられる訪問着です。
附下
岡本幸治作 本加賀友禅附下
青磁色の地に伸びのあるタッチで百花花篭を描いています。外から内へと色をぼかす立体感をだす技法や、細やかな描写の特徴でもある虫喰いなど、加賀友禅独特の技が冴えています。
岡本幸治作 本加賀友禅附下
若葉色の地に伸びのあるタッチで百花八つ橋を描いています。外から内へと色をぼかす立体感をだす技法や、細やかな描写の特徴でもある虫喰いなど、加賀友禅独特の技が冴えています。